4月16〜17日で、登り窯での3度目の本焼きをしました。
窯を詰めきって、いよいよです。
天気予報では、当日は晴れの予報。15日の湿気抜きの日は曇りの予報。
しかし15日は前の日の雨を引きずって終日雨…
時々風で窯に雨が当たる中での湿気抜き。中には影響ないので問題ありませんが、もし本焼き当日に雨が降って、こんなだったらかなわんなぁ〜(汗)
で、当日。
晴れました♪
火入れ。
やや風強し。これが吉と出るか凶と出るか…
あまり吹き下ろしの感じではなく、前から吹き込む感じなので、火がボーボー燃えて温度は上がりそうです。
毎度の事ですが、窯焚きと言っても最初は焚き火みたいなもので、むしろ焚きすぎないように気をつけながらボチボチ焚いていきます。
はっきり言って暇なぐらいなのですが、ちゃんとずっとついて見張って、必要な時に薪をくべないといけないので、それはそれで重要。
(シャイな来客登場)
この登り窯を作ってくれた窯屋さんが「窯焚きは哲学ですからねぇ。陶芸家の方はみんな自分の窯焚きの哲学がありますから。」って言ってましたが、まさにそう。こんな最初のチョボチョボでも疎かには出来ません。
そうは言ってもまだ3度目の窯焚き。今までの窯焚きは窯に遊ばれている感が強く、全く思うようにいったとは思えません(笑)
今回は今までの反省をふまえて、上手く焚けるよう窯詰めから注意を払い、窯焚きもある程度考えて進めていきます。登り窯での窯焚きは自然を相手にしているような側面もあるので、「なるようにしかなんねー」的な部分もあります。そこを上手く焚けると良いのですが…
前回はややピッチを落として焚いて、じっくり焼いていきました。が、結果として非常に時間のかかる窯焚きとなり、焼き上がりも思い描いたものとは随分違った感じになりました。
時間をかけて焼けば良いわけでもないとの結論から、今回は火の様子を見てもっと素直に、それでいて焚き過ぎないように焚いていくことに。
陽が落ちて、窯の温度も順調に上がってきたら、2人がかりの窯焚きです。
おりしもこの日はピンクムーンの満月。
前回同様、近所の柏谷くんにお手伝い願いました。
彼は、昨年は地域おこし協力隊隊員でしたがもう卒業。今では地元三見はもちろん、萩の他地域でも頼られるハンターです。
前回は苦しい窯焚きの中、大活躍してくれたので今回も期待!
大口を割木で焚きこんでいきます。温度計と窯の状態を見て、薪の量とタイミングを決めて焚きます。
今回は撮影の依頼が2つあり、その方たちもやってきて、窯焚きの様子を撮影。
やはり大口を2人で焚いているところが画になります。
窯の温度が1000度を超えるころになると、だいぶ雰囲気が変わります。窯が黒い煙を上げ、窯の隙間から炎が噴き出します。
よしよし、こんな感じこんな感じ♪
今回は煙突の引きを調整して、少し火の通りを悪くしているのでなおさら激しい感じになっています。
窯を焚いていると、どうしようかなぁ…と迷う時があります。特にこの段階以降に。
窯の雰囲気とか温度の上がり方がなんだかイメージと違うとそう思います。今回はそんな時「あ、前にああやったからこうしてみよう」とか「以前の窯元でこんな事したなぁ」とか、パッと出てきました。で、実践すると「当たり!」みたいな。
あ、これが経験かぁー!
陶芸家の先輩は口を揃えて「窯焚きは経験だ」と言います。たくさん焚いたら焚いただけ上手くなる。「まあ、10年焚いたら少しはマシになるよ」とか。
なるほどねー!
大口(一番手前の薪を焚く部屋。作品は入っていません)を十分に温めたら、作品の入った部屋を直接焚く横焚きです。今回は夜中の3時過ぎに横に上がりました。だいたい狙い通りの時間です。
前回は横に上がるのに明け方7時くらいになってしまいましたから、前回みたいな悪夢は見なくて済みそう(笑)でも、油断は禁物です。
気を引き締め直して臨みます。
僕、相方、柏谷くんの3人の間では「まだ分かんないよねー(笑)」が合言葉。
灰窯(1の間。作品の入った一つ目の部屋)の温度の上がり方が思ったほどは良くありませんでした。前回の嫌な感じを思い出します。前回は灰窯の温度を上げるのに、ものすごく時間がかかりました。
今回はそんな時、またも「あっ、こうしたら良いんじゃね」到来!
実践。
上手くいきました!
この窯には、窯の温度を知るための3つ道具が仕込んであります。温度計、ゼーゲルコーン、色見。
温度計はいわゆる普通の温度計。窯の中の温度を表示してくれます。
ゼーゲルコーンは、ある温度になると溶けて倒れる棒。やきものが焼ける温度で倒れる物を仕込んであります。
色見は、実際に窯から取り出して釉薬の溶け具合を確認するテストピースみたいな物。最終的に火を止める判断をする物です。
いずれは色見だけで焚けるようにしたいのですが、まだ他の道具も頼りにします。
前回は温度計にかなり頼ってしまったのが良くありませんでした。温度計はあくまで温度計の刺さった場所の温度をその都度表示してくれるだけで、実際にやきものが焼ける温度を差しているわけではありません。
で、今回はまめにいろいろチェックして、焼き過ぎずに灰窯終了!朝の5時くらいです。
良し!順調!!
二の間(作品の入った二つ目の部屋)に移動。
ホッとしました。体はくたびれていますが、気持ちに余裕が出てきました。これで仮に二の間が焚き切れなくても、灰窯の作品がある(笑)
二の間は、窯焚きスタートから焚いている時間が長いので、その分熱が加わっています。どうしても焚き終えるまでに温度が上がってしまうので、抑えたいのですが、だからと言って温度を上げないといつまで経っても終わらないという事もあります。やむなくほどほどに焚きこんでいきます。
通常、灰窯の焚く時間より、二の間を焚く方が時間がかかります。灰窯を焚き始める時の温度より、二の間を始める時の温度の方が低いからでしょうか。
しかし、終わりは突然やってきました。
二の間を焚き始めてまだそれほど経っていない時、色見を見てまだまだかなぁ〜なんて思っていたのに、しばらくして見たら、あら?もうすぐ終了か!?
慌てて、あちこちチェックして、焼き足りないところを焚きこんでアッという間に終了ー。
朝の6時半。あっけない終了でした。
てか、窯焚きは大概、ジャーンとかバーンとかいって終わるのではなく、なんとなく「はい、終わり」って終わっちゃいます(笑)
今回はかなり感触の良い窯焚きとなりました。焼き上がりがどうかはさておき…
かなり窯をコントロールする感じを味わう事が出来ました。
最初の窯焚きは、なんだか良く分からず「暖簾に腕押しなのに焚けちゃった」窯焚き。
2度目は、どうにも言う事を聞かず、「無理やり焚き終えました」な窯焚き。
そして今回は、おお!なんだか「打てば響く!手ごたえあり!」な窯焚きとなりました。
今回の窯焚きが、今後の基準点になりそうな予感がします。焼き上がりがどうかはさておき…
これで窯を出してみて、さらに反省を加えて、次回に繋げていこうと思います!
柏谷くん、相方さん、ありがとうございました!お疲れ様でした!