なるべく早く登り窯の窯焚きをしようと準備してきましたが、釉掛けと窯詰めも終わり、5月中に焚ける算段がつきました。
初夏の爽やかな空気の中で窯焚き出来れば申し分ありません。6月になると梅雨入りして、窯や薪に湿気が回りやすく、焚くのも大変になるかもしれないので、さっさとやってしまおうと思っていました。
しかし、このところ5月らしからぬ冴えない天気が続いた挙句、なんと早々と梅雨入り宣言…
窯焚きを予定していた日が大雨の天気予報となり、梅雨の合間をぬって日にち調整。ダラダラと延期していくと梅雨本番になってにっちもさっちもいかなくなりそうだし、自分たちの日程にも影響しそうなので、さらっと焚き終えてしまうことにしました。
で、なんとなくジメジメと雨の降るなか湿気抜きで窯を焙り、19日に窯焚き決行と相成りました。
この登り窯での2度目の窯焚き。
9時半火入れ。
曇り。
マッチで火を点けようとするも、マッチは湿気っているしマッチを擦るマッチ箱はボロボロでことごとく失敗し、ようやく焚き付けに火を点けたと思ったらすぐに消えてしまったりと、なんとなく気持ち良くないスタート…
それでも午前中に天気は好転
これを待ってました!
予報では終日晴れ。翌20日の10時ごろから大雨の予報ですが、昨年の窯焚きの様子から、なんとかそれまでに焚き終えてしまうつもりです。
例によって日中は僕一人でボチボチ焚いていきます。
薪として利用する廃材の柱をちょっと窯に放りこんでは、ゆっくりゆっくり窯を温めていきます。
今回は前回の窯焚きの結果から修正し、煙突の引きを少し悪くしたうえで、少しばかりゆっくり焚いていく予定。焼き上がりの感じを調整していく狙いです。
一回廃材の柱を投げ入れたら、ソファにダラダラ座って体力温存。
天気も良いし、緑に囲まれて、聞こえてくるのは鳥の声。途中、この辺りに寝ぐらのあるウサギが飛び出してきて、座ってる僕の真ん前で立ち止まったりと、なんだか長閑。まったりとした時間が過ぎていきます。本当に窯焚きしてるのか?(笑)
あまりにゆっくりなのでついつい焚きこみたくなるのですが、そうしたら前回と変わらなくなると思うので、我慢してあえて焚きこみません。
夜になって、助っ人に来てもらいました。
今回は地域おこし協力隊の隊員、柏谷くんにお願いしました。
右が柏谷くん。タフそうなので期待しています!(途中、夜が明けてからの写真。この時はお互いまだ余裕だな)
夜の9時過ぎくらいから2人がかりで焚こうかと思っていましたが、窯をゆっくり焚いていたのが効いて、思ったほどの温度になっていなかったので、まだ柱でボチボチ。
柏谷くんにも投げてもらって、なんとなく窯焚きに慣れてもらいます。
で、夜中11時過ぎにようやく2人がかりに。
中割という割り木で焚いていきます。
前回の窯焚きの時より、窯の前が熱いように感じます。煙突をいじったために火が抜けにくいからでしょうか。
そして温度の上がりもジワジワ。今回はそれでも良いことにしていたので、そのまま継続。
3時半すぎ、窯の温度が1000度を超え、火吹きの穴からも炎が出ました。
こうなると雰囲気が窯焚きっぽくなってくるので嬉しい♪
もうすぐ大口という手前の焚き口を終了して、横焚きに移れるな… と思ったのですが、案外ここから温度が上がっていかない…
ゆっくり焚いてきたから、柱の量が少なくて、熱量足りないのかな?と思い、薪の量を増やして焚きますが、思うようには上がりません。
夜も明けてきました。
予報よりも早く、4時ごろには雨が降り出しました。
いやー、もうきたか。厄介だなぁ…
しかも、土砂降りじゃねーかよー!
1150度になってようやく横焚きに移れると判断した時にはもう朝の6時半。
あれ?
前回の時はもう窯焚き終了してる時間ですが…
ずいぶん時間かかってるな!ま、窯焚きはその時その時だからいいけど、これならゆっくり焚いてかなくても良かったかな…
とにかく横に移りました。
横焚きと言って、作品の入った部屋に直接小さい薪(小割)を投げ入れて、一部屋ずつ焚き上げていきます。
ここからは相方も含めた総力戦で、余裕がないのでほとんど写真がありません。
まあ、一の間が2時間、二の間が4時間くらいで焚き上がるかな…と予想して臨みました。
が…
ここからが大ゴトでした!
一の間に移動し、しっかり焚きこんでいきます。で、しばらくすると温度計が1200度を表示。それは良いのですが、窯の中がなんだかオカシイ…
これはなんとなくの勘ですが、熾(おき)がすぐに山盛りになって焚き込み過ぎな感じになりました。
あれ?こんなに簡単に焚き過ぎになったっけ??
ちょっと気になるので、少しおいて焚き直していく事に。
すると今度はまるで温度が上がらなくなってしまいました。
なんでだ??
前回はこんな感じなかったのに…
煙突の引きを悪くしたのが悪かったのかと思い、煙突を引きを良くして続けてもなかなか上がっていきません。
そうこうするうち、大口の中に貯めた熾(おき)も減ってきてしまいました。
これは失速か??
経験した事がないから分からないですが、これはもしかしたら、もう一度大口から焚き直しになってしまうかも…
原因がよく分からないから、どうしたら良いか糸口が見えない。
陶芸家の先輩を呼ぼうか…
相方にもらすと「そんなに大変なの!?」と返事。そう、そんなに大変です。
でも、ここまで来たらやるだけやるしかないなと腹をくくり、もうなんとかとことん焚いていく事に。
柏谷くんと交代交代でバリバリ焚いていきます。温度計ともにらめっこ。
大口に薪を足して少し温め直したり。
一の間を焚き上げるのに、だいたい小割の束が30束から40束くらいで焚けると算段していましたが、全くそれどころではなく、100束に達する勢い。
時間もどんどん過ぎていきます。
もう3人ともヘロヘロです。
かわいそうなのは柏谷くんです。
前回、6時くらいに終わったので、早ければそのくらいに終わるよなんて言ってお願いしたのに、もう何時に終わるのやら、検討がつきません。一の間が終わったら、まだ二の間があるのです。
どうなっちゃうんだろぅ…
いや、考えても仕方ない。今は一の間を焚き上げなければ。
柏谷くんはかなり頑張って活躍してくれました!初めてなのにもの凄く勘が良く、上手く焚いてくれます。温度が超えられない壁にぶつかった時、柏谷くんがそれを破ってくれること度々。
で、ジリジリ温度を上げつつ、なんとか一の間を焚き終えました!
やった…
なんとかなった…
もう昼近くでしょうか。
間髪入れずに二の間に移ります。
気持ち的、体力的には、もうここで終了なのですが…
二の間は、今までの経験上、ダラダラと長くかかる印象です。もしかしたらまだまだ長くかかるかも。
しかし、一の間が長かったので、それだけ二の間は温められています。もしかしたら早く上がってくれるかも…そう祈りながら焚いていくと、グーっと温度が上がっていきます。
よし!このまま落とさず焚き上げていこう。
もはやあんな風に焚こうこんな風に焚こうなんて余裕はありません。とにかくなんとか終わらせねば。
一の間とは打って変わって、素直な温度上昇の二の間。最後の力を振り絞ります。
そして
ついに二の間終了!
終わったぁー……
なんと午後2時過ぎ!
もう動けません。まじで
川上で窯を借りていた時以来の過酷な窯焚きとなりました。
でも焚けて良かった…
これ、焚けなかったらダメージ大きすぎて、想像したくもありません(笑)
柏谷くんと相方には、ほんと感謝です。よくぞ最後まで付き合ってくれました。
ありがとうございました!
人を巻き込んで焚く登り窯なので、こんなに苦戦せずに焚けるようになりたいものです。次回、また懲りずに頑張ろうと思います。
苦労して焚いた作品、窯出しして、結果を見るのが楽しみです!